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川辺の村


 梅雨前のすっきりと晴れた初夏の頃。川辺のうどん屋では大将がうどんを啜っている。何杯も、何杯も。ずずずっと。

 それは自ら「さくら」をしていると言うべきか、又は、客が少なく麺を在庫にしたくないのか知らないが、なんだか見てると旨そうに思えてくる。少し小腹が空いていたが、どうも昔からそのうどん屋「伊乃屋」には入る気がしない。私がここで足を止めたのにはもうひとつ理由があった。この悠々と流れる川のせせらぎだ。天気がいいこともありキラキラと水面が輝き、とても気持ちがいい。私は川に入った。ゴボゴボゴボ。ゴボゴボゴボ。

 早かったか、すこし冷たいが気持ちがよい。時折、足先に水草が絡むが、潜ってみるとその透き通る緑色の水草がゆらゆらゆらとなんと美しいこと。私は昔を思い出しながら魚のようにゆらゆら泳いでみた。


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